アキレス腱断裂

1. アキレス腱断裂とは?

アキレス腱断裂は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作でふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋) が急激に収縮した時や、着地動作などで急に筋肉が伸ばされたりした時に発生します。腱の退行性変性が基盤にあると考えられています。30~50歳のスポーツ愛好家に多く、レクリエーション中の受傷が多いのが特徴です。

2. 症状

受傷時には、「ふくらはぎをバットでたたかれた感じ」や、「ボールが当たった感じ」などの衝撃を感じることが多いです。つま先立ちができなくなるが、ベタ足歩きならば歩行可能な場合もあります。

3. 検査法

(1)徒手検査法:トンプソンテスト

下腿三頭筋を手でつまむと、正常では足関節が底屈しますが、アキレス腱が断裂しているとつまんでも力が伝わらず底屈しません。つまんでも底屈しないときはトンプソンテスト陽性で、アキレス腱断裂が疑われます(図1,2)。

(2)超音波画像観察装置(エコー):エコーにてアキレス腱の断裂像を確認します(図3,4)。

(図1) トンプソンテスト陰性

(図2) トンプソンテスト陽性


(図3)

(図4)


4. 治療方法

治療方法には、手術療法と保存療法があります。

これまでは、手術療法が一般的でしたが、近年の研究で再断裂発生率の差があまりない点や、入院しなくても良いといった点から保存療法が適用されることが多くなってきました。

5. 当院で行っている保存療法

(1)固定療法

受傷から1週間は、足先から膝上までギプス固定を行います。膝を曲げ伸ばしする際に、アキレス腱に伸長力が加わってしまう為、足首だけでなく膝の動きも合わせて制限することが重要です。

1週から5週の間はヒール付きキャスト固定を(図5)、5週から9週の間はU字プライトンとヒール付きサンダル固定を行い(図6,7)、9週目以降は固定療法を終了します。