症例紹介

マレットフィンガー

1.マレットフィンガーとは?

指先に物が当たった時などに起きるケガの一つで、スポーツ中にボールが当たった際などに生じます。

 

 

 

 2.主な症状

指の第1関節に痛みや腫れ、皮下出血が生じ、曲がった状態のまま自動的には伸ばせなくなります。他動的に伸ばすことは可能です(図1A,B)。

 

3.ケガの分類

ケガの仕方によって3つの型に分けられます。

 

Ⅰ型:長指伸筋腱(指の第1関節を伸ばす腱)の断裂

Ⅱ型:長指伸筋腱付着部の裂離骨折

Ⅲ型:骨折が関節面まで及んだ関節骨折

 

ケガの状態や、ケガをしてから経過した日数によって固定方法や固定期間などの治療内容が変わります。基本的には保存療法を行いますが、重症時は手術適応となることもありますので、その際は適切な処置を行ってもらえる提携先の整形外科へ紹介します。

 

図1A

図1B


4.検査方法

接骨院へ受診された際には問診・視診・触診に加え、超音波画像観察装置(エコー)を用いて骨や腱の状態を観察し、ケガの状態を詳しく確認します(図2)。

図2


 

 5.治療方法

初診時はエコーにてケガの状態を確認し、必要に応じて整復操作を行い、ケガの型に合わせてアルフェンスや熱可塑性樹脂(プライトン)を用いて固定を行います(図3)。骨折の疑いのある場合は提携先の整形外科へ紹介させて頂きます。

骨折が確認された場合でも当院にて固定管理や電療、手技療法、運動療法の他に、骨折部位の骨の形成を促進し、骨癒合期間を約40%短縮する低出力超音波パルス療法(LIPUS)などのリハビリを行います。

 

図3



6.症例紹介

15歳、女性、マレットフィンガー

⑴負傷原因

学校で体育のバレーボール中、飛んできたボールをオーバーハンドトスした際に、右の小指をボールに強打し負傷。

⑵経緯

負傷翌日に当院来院。

問診・視診・触診・エコー検査の結果、マレットフィンガーⅡ型と判断したため骨折部の整復操作後にアルフェンス固定法を実施し、提携先の整形外科に紹介し、右第5指末節骨骨折と診断され、以降当院にてリハビリを行う。

⑶治療内容

来院時に清拭(固定した患部を清潔に保つため愛護的に石鹸で洗います)、電気療法、手技療法、運動療法、LIPUS等行い、患部を再度固定し継続して治療を行う。

⑷経過

治療を継続し、負傷から約2か月後には骨折部が完全に癒合したため治療を終了。

⑸総評

マレットフィンガーは手術適応になることが多いケガですが、初診時に適切な整復及び固定を行い、継続してリハビリを行うことで後遺症なく骨折部を癒合させ、ケガ以前の状態まで回復させることができます。